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ロマンス一世紀前

先日黒岩涙香という一世紀ほど前の作家さんの「幽霊塔」という小説を読みました。
黒岩涙香とはかの「巌窟王」や「レミゼラブル」を日本語翻訳した方として有名ですが、実はほかにもいろいろなお仕事をした方です。

その一つが外国の小説、主にミステリーを日本風に「書き直して」発表することです。つまり例えば、

イギリスを舞台にしたイギリス人によるイギリス人のための小説を、

イギリスを舞台にした、日本人による日本人のための小説にするのです。

登場人物たちは「丸部道九郎」とか「松谷秀子」とか、しっかり日本名でしかもどうやら女性は着物を着ている。
しかし住んでる場所は英国で、どうやら英国人らしい。しかも主人公丸部は英国貴族。
外国人(この場合はちゃんとピエールさんとか)は亜米利加とか、阿弗利加とか仏蘭西からやってくる。(日本は全く出てこない)

その設定に気が付くのに20ページ以上かかったと思います。(なんで倫敦(ロンドン)に「数時間で帰る」とかいうのか不思議でしょうがなかった)

そうやってなじみのない外国の物語を少しでも当時の日本人読者に楽しく読んでもらおうとしたのでしょうね。

とにかくこれは倫敦より田舎の曰く付きの幽霊塔と、それを買い取ることになった英国貴族丸部家にまつわる殺人と宝探しの物語。
そこにものすごい美女が出てくる。しかもミステリアスで頭が良くて勇敢でウィットに富んでるときた。主人公道九郎、すぐにメロメロ。ところがその美人秀子をめぐって失踪事件やら殺人が起きて、犯人扱いされるのを道九郎君が一生懸命守る、ざっくりいうとこんなお話です。

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西山がなんでこの本を読みだしたかというと、昨年初めてジブリ美術館に行って、

「宮崎駿氏がどうして何かと「塔」を舞台に話を作りたいと思うようになったか」

を特集する特別展をみたからです。
宮崎駿監督は幼いころ読んだ江戸川乱歩の「幽霊塔」をすごいどきどきワクワクしながら読んで、「塔」というギミックに取りつかれたのだということです。
さてしかし、実はこの江戸川乱歩も幼いころ黒岩涙香の「幽霊塔」を読んで激しくドキドキして、それで自らもこの小説をモチーフにリライトしたということなのです。

で、西山どうせならまず黒岩涙香の「幽霊塔」を読んでみよう、と思って図書館で借りてきたのです。江戸川乱歩版のほうは宮崎駿監督が表紙を描いてることもあってものすごい数の人が借りるのを順番待ちしていてとても借りれなかったのもあります。(黒岩涙香のはライバルゼロ)

100年前の小説の、文体をそのままでということで、ルビはふってあってもとにかく読みにくい。それほど急がなかったこともあって読み終えるのに3か月かかりました。(図書館にはなんども延長と再貸出しをお願い)

100年前の方ならワクワクひーきゃーと読んだでしょうが、2016年を生きる一応漫画家には、うん、まあ、そんな感じです。
それでも最後まで読み切ったのは、実は100年前の人物や心理表現が今と全然違うのが、むしろ面白かったからです。
たとえば、

塔で夜主人公が寝ていると何かを感じて起き上がり、布団に戻ってみると「天井上からしたたり落ちたと思われる血が!!!
現代なら1びっくりする、2叫ぶ、3人を呼ぶ、4警察とか来る、ですがこの本の中では

「みんなを起こすのも何だし、でも血がついているところで寝るのはいやだからソファーで寝ることにした。」


ええええー…

しかも、「翌日朝散歩してごはん食べて、それからみんなに話した」

は??散歩?ごはん???

まあこんなかんじです。この主人公監禁されようが何だろうがなぜかよく寝てよく食べる。
ええええーと思いながらそれがなんだかおもしろかったので読み切ったわけです。

しかし現代日本人として一番びっくりだったのは、作中何度もでてくるし、主人公の行動原理にもなっている、コレ。


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真顔ですよ。
長文失礼しました。
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